Mercedes Benz 300SL 通称:ガルウィング
モデルイヤー:1954年~1957年 |
ようやく第二次世界大戦の痛みも薄れたこの年のル・マン24時間レースで1-2フィニッシュを成し遂げたクルマがあった。それが、メルセデス・ベンツ 300SLプロトタイプであり、その市販モデルが2年後のニューヨークオートショウで「メルセデス・ベンツ 300SLクーペ」としてデビューを果たした。
精悍なフロントマスクに銀色のボディ。上方に大きく跳ね上がるガルウィング式ドア、ホイールアーチ上のフィンなどその流麗なスタイリングのすべてが、オートショウを訪れた人々の目を奪うものだった。しかし、このクルマはその中味もまた斬新で魅力に溢れるものだった。
量産車として初めて気筒内直接噴射を実現した水冷6気筒2996ccのエンジンはM196と呼ばれ、215馬力を発生。最高速度も260km/hを記録するなど高性能を誇った。また「マルチチューブラー・スペースフレーム」と呼ばれる、無数の細い鋼管を橋桁状に組み合わせた新しいシャシーは、軽量かつ高剛性を実現していた。
ガルウィング・ドアが特徴だったクーペモデルは1957年に生産を終了したが、代わりにオープンエアを獲得したロードスターモデルがラインアップに加わった。しかし、やはり1400台が生産されたガルウィング・ドアの300SLは、英国レース界の英雄スターリング・モスや、名コメディアンのトニー・ハンコック、天才画家パブロ・ピカソ、フランスの名女優ソフィア・ローレンのほか、日本の力道山、石原裕次郎など世界中の著名人をもとりこにし、その名を轟かせた。
また、同モデルのレース仕様車300SLRは、1955年のミッレ・ミリアにおいて、平均時速157km/hという当時としては驚異的なスピードで優勝し、シルバーアローの栄光を確固たるものとした。
300SLは、特にアメリカにおいて、ステータスシンボルとして富裕層の支持を集め、クーペが1,400台、ロードスターが1,858台生産されました。
■ メルセデスベンツ300SLロードスター主要諸元 ■
全長×全幅×全高:4,570×1,790×1,300
ホイールベース:2,400mm
車両重量:1,330kg
エンジン種類:水冷直列6気筒 OHC 2,996cc
最高出力:215馬力/5,800回転
最大トルク :28.0kg-m/4,600回転
サスペンション形式 前:ダブルウィッシュボーン
サスペンション形式 後:コイルスプリングアクスル
ブレーキ:前/後:ドラム/ドラム |